私はただ、己に宿る病を癒やすために、大地を巡る旅へと駆り立てられた。
そこには、天地のはじめより伝え継がれてきた、聖なる幻薬の秘儀が息づいていた。
だがやがて、癒やしを求めたはずの病の影は霞のごとく消え失せ、
残されたのは――世界の果てに散らばる真の叡智を護り続ける者たちとの、
まるで運命に導かれたかのような結びつきであった。
今、遥かなる歩みを振り返れば──
その願いは、もはや私ひとりの癒やしにはとどまらなかった。
両親は決して口にすることはないだろう。
私もまた、無理に勧めることなどできはしない。
それでも、もし彼らが一日でも長く、この世の光のもとに生きられるのなら──
私は、天上の神々が不死を得たと伝わる霊酒、
不老不死の神々の飲みもの「ソーマ」を、
彼らのために求め、試みようと心に誓ったのだ。
ソーマの調合は、ただの酒ではない。
月と太陽の力を宿す草、
大地の奥底で眠る根、
清らかなる流水と、火の浄化とを合わせ、
天界と人界をつなぐ「生命の滴」として錬ぜられる。
ソーマの成分
- 大麻
• Cannabis / Cannabis Oil
• 主成分:THC
• 精神活性作用を持ち、意識変容を促す。
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- キノコ類
• Sacred Mushrooms(Psilocybe cyanescens, Psilocybe cubensis)
→ マジックマッシュルーム、シロシビン含有、幻覚作用。
• Lion’s Mane Mushroom(ヤマブシタケ)
→ サイケデリック作用はないが、神経成長因子を刺激する可能性がある「非幻覚性」キノコ。
• Amanita Muscaria(ベニテングタケ)
→ 北方民族に伝わる伝統的な使用歴あり。特異な精神作用をもつ。
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- アヤワスカ・DMT系
• Ayahuasca
→ DMTを含む植物とMAOIを組み合わせることで経口活性化。
• Chacruna(チャクルーナ)
→ アヤワスカの主要成分となるDMT源植物。
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- MAOI(モノアミン酸化酵素阻害剤)
• Syrian Rue(シリアンルー) / ハルマラアルカロイド
→ MAOI作用により、DMTを経口で活性化するために用いられる。
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- その他の植物・儀式用ハーブ
• Blue Lotus Flower(ブルーロータス)
→ 軽度のリラックス・陶酔作用(新鮮なものが最良とされる)。
• San Pedro(サンペドロ・サボテン)
→ メスカリン含有、幻覚作用。
• Yopo Seeds(ヨポの種子)
→ 5-MeO-DMTやブフォテニンを含有。
• Sacred Tobacco(純粋なタバコ)
→ ネイティブ儀式に用いられる。強力なニコチン作用。
• Laurel Leaves(月桂樹の葉)
→ 儀式での香りづけや補助。精神作用は穏やか。
• Monatomic Gold(単原子ゴールド)
→ 古代文献では「意識を高める」とされる。
• Mad Honey(狂蜜/マッドハニー)
→ 特殊成分による精神活性作用。
古代から伝わる霊薬を研究する賢者が、私のために「ソーマの儀式」を厳かに行ってくれた。
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アヤワスカを飲んだ回数は、もう数えきれない。
世界各地で幾人ものシャーマンと出会った。
私が信じるシャーマンは、こう告げる。
「アヤワスカを口にしたら、姿勢を正し、呼吸を整え、椅子に腰掛け、ただイカロに耳を澄ませよ」と。
最後のアヤワスカの夜──。
アマゾン、ジャングルの中、私はひとり、五人のシャーマンに囲まれ、五時間にわたり歌に抱かれていた。
その響きに、いつかもう一度身を委ねたいと、今も願っている。
アヤワスカによって臨死体験を語る人は多い。
DMTと臨死体験の類似性は、科学によっても裏づけられている。
さらに、5-MeO-DMTでは「エゴの死と再生」を体験したと語る人が多い。
──ソーマの儀式。
定められた順に医薬を口にし、吐かずに耐えよと教えられた。
医薬のスピリットに身を委ね、拒絶してはならぬと。
私は四時間のあいだ格闘し、ついに吐き出してしまった。
そこからさらに六時間、光と闇のはざまを彷徨い続けた。
歴史家は言う──「ソーマで見たものは語ってはならぬ」と。
儀式中ただ家族を想い、かすれる声で「ありがとう」と繰り返していた。
小さな声で、何度も、何度も。それだけが意識を繋ぐ糸だった。
「死を忘れるな」──メメント・モリ。
古代ローマにまで遡るその言葉は、
「人は必ず死ぬことを忘れるな」「死を想え」と告げる。
あの夜、私は肉体と精神をもって、十時間をかけ、静かに死を味わった。
世界の果てまで巡り歩いても、宇宙の叡智と聖なる医薬を、正しく手にすることのできる者を見出すことほど困難なことはない。
神々の飲み物へと導かれたことも、また私に課せられた宿命であり、
数多の生を越えてあまれた、カルマのあらわれなのだ。
中島みゆき氏の歌詞だ。
織りなす布は いつか誰かの傷を庇うかもしれない
私の歩んだ道が
いつか見知らぬ誰かの
光となり、支えとなりますように。